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謝銘仁『邪馬台国 中国人はこう読む』

Kodakana2006-05-30

邪馬台国 中国人はこう読む
謝銘仁 著
立風書房
1983年10月10日 第1刷発行

目次

はしがき I 「魏志倭人伝」について 1 陳寿という人 2 『三国志』と裴松之の注 3 「魏志倭人伝」をどう読むか II 「魏志倭人伝」の訳読 1 女王国の領域と邪馬台国への道 2 倭国の習俗と産物 3 女王卑弥呼 4 倭国周圏の国々 5 魏帝、倭女王に書をいたす 6 魏・倭両国のよしみ III 「邪馬台国への道」の証言 1 水行で狗邪韓国へ 2 これまでの行程論 3 中国における伝統的な行程の算出法 4 行人の赴くところ 5 「水行十日」と「水行十日程」は違う 6 干支思想と卜占 7 儷辞的表現 8 「水行すれば十日、陸行すれば一月」は語釈 9 放射式の読み方は珍訳 10 魏・倭両国間の親善接触 11 「至」と「到」の用義上の異同 12 戸数と人口 13 「方里」と神秘的数字 14 女王国に統属す IV 邪馬台国をめぐる諸問題 1 「其人寿考、或百年」とは 2 卑弥呼以死 3 「東冶(治)之東」をめぐって 4 「大倭」とは 5 「一大率」の疑問について 6 ※[にんべん+憺のつくり、タン]耳・朱崖と同じか 7 「※[木+冉]」とはどんな植物か 8 参問倭地、周旋五千余里 9 「持衰」とは何か 10 白珠五千、孔青大句珠二枚 11 ※[たけかんむり/邊、ヘン]と豆 12 有人持兵守衛 巻末資料 1 「魏志倭人伝」の原文と註釈 2 三国時代の略年譜 3 『三国志』の版本と参考書籍 あとがき 解説 安本美典

邪馬台国論争」に関する出版物には、論者の思いこみや願望が入り込んでいたり、珍談・奇説のたぐいのものも少なくない。また、日本語圏で育った学者は、「倭人伝」を読み下してから解釈するきらいがあるため、漢文として正確でない読み方に基づいて論じてしまう場合もあるという。

謝銘仁氏は、まず「倭人伝」を古漢文として正しく読もうとすることから始める。ついで、そこからわかるだろうことだけを平易に解説する。たとえば、邪馬台国への行程記事についての「放射式」の解釈を、九州説にとっては、行程が長すぎるから放射式という妙案で、行程を縮めようとするのは面白いが、自然な読み方ではないと指摘している。なお、この本で謝銘仁氏は、九州説の立場も機内説の立場もとらない。「倭人伝」にはそれを判断できるような記述はないということだろう。

この本は、1990年には徳間文庫で発行されているが、現在は絶版になっているようである。

邪馬台国 中国人はこう読む (徳間文庫)

邪馬台国 中国人はこう読む (徳間文庫)