旧カミクズヒロイ

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堀口牧子『現代日本の差別意識』

Kodakana2006-05-22

現代日本差別意識
堀口牧子 著
三一新書
1978年2月15日 第1版第1刷発行

目次

第一部 現代日本における差別意識の諸相
    第一章 差別意識論
        ―若い世代の意識分析を中心として―
    第二章 生きている”自警団”
        ―京都韓国学園建設反対運動の中にあるもの―
    第三章 糾弾をとおして私は変った
        ―ある差別事件当事者Kさんからの聞き書―
第二部 何が差別を支えているか

学生への意識調査や差別事件の実例を通して、差別の意識や構造をあぶり出す一冊。直接的には30年近く前の部落や在日韓国人に対する差別を取りあげているが、その論旨を現在の状況に照らすとき、差別の意識と構造は年代を越え、また性別に関する諸問題などにも共通の性質があることに気付かされる。

この本の著者の姿勢は、知らないうちに差別に加担していた過去の自分に対して否定的である。そして自己否定を通して、より豊かな自己を獲得しようとしているように見える。間違っていた過去には、きちんと否定することによってのみ、肯定的な生命を与えることができるのだろう。

この本は現在は入手困難なようだ。興味のある人は、図書館や古本屋をあたってみてほしい。